日米同盟の更なる強化を

2005年11月17日 産経新聞一面 掲載
 首相が日米首脳会談の冒頭、「日米関係が良ければ中韓はじめ世界各国と良好な関係が築けるというのが基本だ」と言ったのは中々の見識だ。なまじっかな学者には持てない洞察力といえる。中韓両国は、小泉純一郎首相の靖国神社参拝などで内政干渉的な発言を繰り返しているが、仮に日米関係がしっかりしていなければどうなるか。

 例えば、米国と疎遠になり、中韓両国と接近すれば、中国の日米離間策に乗ってますます日本は世界の中で孤立するのは自明の理だ。

 日米同盟は何が基本かを考えるとき、それは①歴史②力関係の現実|から自ずと見えてくる。

 まず、歴史の観点で日米同盟を見るというのは、冷戦終結後の国際情勢という短期的な視点ではない。島国だった日本が幕末に開国して以来、七つの海を制覇していたアングロ・アメリカン世界と仲良くしていれば、国民の安全と繁栄が約束されるということだ。ここでいう「安全」の中には、自由と独立も含まれる。

 最近では、例えば日本のパートナーの相手が旧ソ連であれば、日本は占領されたまま自由も独立もなかった。北朝鮮の脅迫からも、自由や独立は得られない。

 二つ目の力関係の現実だが、そもそも日米同盟の力というのは、経済力と軍事力にある。

 日米でこの二つを合わせると、世界では圧倒的な強さになる。この強い数値というか、方程式が安定していれば、他の国際情勢がどう変動しようとも、アジア地域のみならず世界の大勢に影響はないといえる。

 だからこそ、日本がイラクへ自衛隊を派遣したのは、給水活動など復興支援というその場の任務だけが目的ではなく、日米同盟をより強固にするという基本に立ち返ったからに他ならない。

 十二月には自衛隊の派遣期限が切れるが、いつ、イラクから引き揚げるかということが問題になる。日米同盟をまったく傷つけないで米国から感謝される状況なら、引き揚げても構わない。しかし、同盟関係をいささかでも傷つけることになるなら、引き揚げてはならない。これは、日米同盟の重要性を考えれば単純明快なことだ。

 一方、中国、韓国との関係だが、日米同盟さえしっかりしていれば、日本との一時の摩擦は、さざ波のごときもの。日本は、ものごとの大小、軽重をしっかり考えなければならない。

 ブッシュ大統領はアジア歴訪前の記者会見で、中国人記者から中韓などアジア諸国と日本の関係について聞かれ、「未来志向の関係を築くべきだ」と答えている。これは日本の主張を代弁し、日本の立場を強くするものだ。

 あえて注文をつけるとするならば、もう一息、日米同盟を強化していかねばならない。孫子の代まで日米同盟を磐石とするためには、首脳会談で同盟強化を確認するのに止まらず、日米同盟を実質的なものに発展させるため、これまでの片務的な関係を改め、日米安全保障条約に双務性を持たせる努力をするべきだ。

 具体的には、国連憲章に明記されながら、内閣法制局の見解で容認してこなかった集団的自衛権の行使を認めること。

 小泉首相の残り任期は来年九月までだが、首相在任中に何とか、これを実現して欲しい。